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「ずいずいずっころばし」の謎

「ずいずいずっころばし」といえば、子供のころの遊びを思い出します。何人かで輪をつくり、みんな手を軽く握って小さな穴を作る。そしてこの歌に合わせて順番に指を突っ込んでいきます。歌がちょうど終わった時に指をつっこまれていた人が負け、というわけです。歌の文句を全部紹介してみましょう。

ずいずいずっころばし ゴマ味噌ずい 茶壺に追われてトッピンシャン
抜けたらドンドコショ 俵のネズミが米くってチュウ チュウチュウチュウ
お父さんが呼んでも お母さんが呼んでも 行きっこなあしよ
井戸のまわりでお茶碗欠いたのだあれ

これは静岡市で歌われていたものですが、長野県や埼玉県でも全く同じ文句です。むかし、宇治から江戸に向かうお茶壺道中の一行がひどく威張って沿道の人に負担をかけるので、その行列がくるとみんな戸をピシャンと閉めて家にこもってしまうことだと解釈されてきました。

しかし、お茶壺道中に関係ありそうなのは、茶壺に追われて、というところだけで、前後の意味は全くつながりません。子供の遊び歌は、大人の歌から調子のいいところだけを取り出して、意味よりも言葉のつながりとリズム感を楽しむものがほとんだからです。

それよりも、トッピンシャンという文句は、柳田国男が言うように、東北地方の昔話で語りおわった時に「お終い」という意味の決まり文句として使われる、「とっぴんぱらりのぷう」などとの関連がありそうで、もとととこの歌はお茶壺道中には関係なかったのではないでしょうか。本来の意味を皆で考えてみませんか。

(中村 羊一郎 )