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喫茶文化の紹介

「お茶を濁す」

「お茶を濁す」「お茶を引く」、あるいは「おちゃっぴい」など「お茶」という言葉を頭にのっけた言い回しがたくさんあります。

お茶を引く、というのも抹茶と関係があります。抹茶はお茶の粉末という意味ですから、茶壺で保管した碾茶(てんちゃ、まだ粉になっていない)を茶臼で引かなければなりません。昔、客のつかない遊女が茶臼で茶を引いて時間をつぶしたところから、その日の仕事にあぶれることを茶を引くというようになったとされています。これは現在でも芸者さんたちがお座敷がかからないとき、「今日はお茶を引いちゃった」などというかたちで使っています。

この言葉からうまれたのが、「おちゃっぴい」で、元気のいい女の子のことをさし、江戸時代にもすでに「おちゃっぴいのおてんば娘」というような言い方がありました。

あるいは茶番劇という言葉がありますね。これは劇場で下っぱの役者が茶をだす仕事を務めたのを茶番といいました。その茶番が演じた他愛のない演し物を茶番劇といい、のちにおどけた劇や見え透いた作為のことをさすようになりました。茶が身近な存在であったからこそ、いろんな俗っぽい表現に使われたのでしょう。

(中村 羊一郎 )