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2025年 O-CHAパイオニア賞

茶に関する学術研究、関連産業、文化の更なる発展に寄与することを目的とし、優れた学術研究や振興、発展に寄与した産業技術、茶のある豊かな生活文化の提案、消費拡大等の優れた成果を、公益財団法人世界緑茶協会が顕彰しています。24回目となる2025年は下記のとおり決定いたしました。

2025年 O-CHAパイオニア賞 各賞受賞者

【学術研究大賞】

茶に係る優れた学術研究成果

受賞者

根角 厚司国立研究開発法人農研機構 本部スマート農業施設供用推進プロジェクト室 / 室長

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受賞タイトル

多様な日本茶品種の育成とその普及に資する研究

概要

長年にわたり茶の品種育成に携わり、多様な茶品種や、高タンニン・高カフェイン、クワシロカイガラムシ抵抗性、高アントシアニン特性を有する茶中間母本など特色ある育種素材の開発を行ってきた。また、品種育成に留まらず、育成品種の普及のための栽培・加工技術、機能性成分の利用技術や機能性の特性を活かした商品開発等を行うなど、新品種の導入促進、産地形成やブランド化などに対する貢献は極めて大きい。

 

【文化・芸術大賞】

茶の文化及び芸術に関する優れた成果

受賞者

 舘 隆志(駒澤大学 仏教学部 / 准教授)

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受賞タイトル

禅宗における喫茶文化の研究

概要

茶文化は禅と深く関わるものであり、その価値への世界的評価も高まっている。なかでも栄西をはじめ、鎌倉時代の禅僧たちの史料は禅と茶を語る上で避けては通れない。しかし、その史料は膨大かつ難解なものが多く、体系的な研究がなされてこなかった。禅宗と喫茶文化の歴史を深く研究し、記録から鎌倉時代の喫茶文化をよみがえらせ、論文や書籍の執筆、講演を多く行い、研究者のみならず一般にも茶文化を広く伝えている功績は大きい。

 

【O-CHA特別大賞】 

茶に関する国際的な貢献や日本茶の普及等に係る優れた成果

受賞者

磯部 輝之(輝之窯 / 窯元)

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受賞タイトル

長年にわたり急須作家として茶文化の普及と発展に貢献する名匠

概要

2024年で作家歴70周年を迎え、86歳でもなお現役で活躍する常滑急須作家。日本茶インストラクター協会推奨の急須の原型を手掛けた人物でもあり、美味しい日本茶を淹れられる日常使いの急須を確かな技術力で実現している。「常滑焼平型急須」制作にも試作段階から取り組み、実用的かつ美しいデザインは、日本茶に触れてこなかった人々にも急須と日本茶の新しい価値を広めている。氏の平型急須は中国宜興の国立陶磁器博物館に「平形印花急須」の名称で永久所蔵されている。

 

受賞者

戸倉 由紀枝(ゆとみ・ソリューション / 代表)

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受賞タイトル

茶・自然・人の多様性を根底に情報サイトを構築し国内外に発信

概要

多くの人に厳しい茶業の現状と茶草場農法、急須でお茶をいれる良さを伝えたいとの思いから、お茶のウェブサイト「CHAMART」を2021年に公開。国内・海外に多様な日本茶と環境保全の重要性を発信。その他にも、海外の食品関連展示会への出展、車椅子利用者や視覚障がい者にも日本茶や茶草場農法を広める活動を積極的に行っている。自然や人の多様性に目を向け共存を図ることが、氏の活動の根底にあると見受けられる。

 

 【CHAllenge賞】 

茶の将来を牽引するような意欲的な取組み

受賞者

寺田 賢三(Teaste it / 代表)

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受賞タイトル

異文化に日本茶を定着させる商品開発と販売の取り組み

概要

欧州で受け入れられるよう、独自の販売方法を模索、日本茶の販路を開拓する。日本のソフトパワー(アニメ)を利用し、「進撃の巨人」のパッケージを用いた日本茶をアニメコミックショーで若者層に向け販売。また、特別な体験としてではなく、日常的に日本茶を取り入れられるようエスプレッソマシーンを用いたお茶「Moka-cha」を開発し、ロンドンの茶コンテスト「The Leafies 2024」で「Highly Commended」(優秀賞)を受賞するなど、将来に期待。

   

受賞者

Piyaporn Chueamchaitrakun( メーファールン大学 茶・コーヒー研究所 / 所長)

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受賞タイトル

タイにおけるお茶コミュニティの活性化への貢献

概要

2012年からメーファールン大学の茶・コーヒー研究所(TCMFU)の所長を務める氏は、TCMFUのビジョン実現のため、「研究・研修・グローバルネットワーク・世界市場でのタイ茶の競争力向上」の4つの柱を考案。日本とも繋がりを強め、日本の茶業者を招いての講座開催や、静岡県立大学との覚書締結による技術協力や情報交換など、茶に関する協力と双方の発展に努め、グローバル市場における両国の茶業促進が期待される。

  

受賞者

  江沢 貴弘(食の専門校レコールバンタン / 飲料部門統括責任者)

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受賞タイトル

お茶カクテル新商品開発による飲用層拡大と国際的な技術普及

概要

長年に渡り、お茶を使用したカクテルやモクテルを飲食店・企業に提案し数々の新商品を開発。自身でも、お茶カクテルを多くの人々の注目を集めるコンペティションへ出品・入賞することで、新たなお茶の魅力を広めている。メディア出演や日本茶動画制作の監修、食の教育機関における技術指導等を通じ、飲食に係る人々を中心に日本茶への理解を深め、日本茶を活かす技術を国内外に共有することで茶の消費拡大に貢献。

  

受賞者

 勝間田開拓茶農業協同組合 (代表 / 道下和行)

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受賞タイトル

香り緑茶が切り開く日本茶の新時代

概要

「香り緑茶」の試作にいち早く取組み、香り緑茶「花ここち」をプロモーション商品として開発・生産に取組んだ。首都圏をはじめ各地のイベントに積極的に参加し、従来の荒茶販売とは異なり、問屋を介さず直接首都圏のカフェや消費者に届け、香り緑茶の認知度をますます高めている。「花ここち」は、日本茶AWARDでも入賞し、否定的に捉えられることの多かった煎茶の萎凋工程が日本茶の新たな可能性として評価される契機となった。