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日本茶編

家庭でできる手作り新茶

ホットプレートは、250℃くらいまで温度の上がるものを用意しよう。使う前には、プレートをよく洗い、油分や臭いの原因となる汚れを十分に取っておくことが肝心だ。
製茶の手順は、①新芽(葉)の細胞を高熱で一挙に処理する工程、②揉みながら乾燥する工程、③仕上げの乾燥工程に分けられる。
高熱で処理する工程は、専門用語で「殺青(さっせい)」という。新芽(葉)の細胞に含まれる酸化酵素を熱で不活化する工程である。緑茶は新芽(葉)が傷まないうちに熱を加えて殺青するから、緑色の茶になるのである。烏龍茶は、摘み取った新芽(葉)の萎凋させ、新芽(葉)が少し褐色に変化し始めた頃に熱を加えて殺青し、もみながら乾燥して作る。紅茶は、新芽(葉)が完全に褐色に変化するまで酸化反応を進ませ、乾燥して作る。
早速、ホットプレートで作ってみよう。

1.殺青

まず、250℃くらいまで熱したホットプレートに用意した新芽(葉)を入れ蓋を閉める。新芽(葉)は熱でチリチリ音を出し、蓋をした内部は新芽(葉)の水分で蒸されたような状態になる。30秒ほどしたら蓋をあけて新芽を箸で攪拌し、また蓋を閉めて蒸す。これを数回繰り返す。新芽全体が萎れた状態となり、青臭い香りが消え爽やかな香りとなったら殺青は終わり。

2.ホットプレートを使って揉む

お茶を揉んでいる様子殺青の終わった新芽(葉)をホットプレートから取りだし、きれいなテーブルか板の上に移す。新芽(葉)が素手で扱えるような温度になったら、両手で強く揉む。揉み続けると新芽(葉)の中から水分が滲んできて全体がしっとりしてくる。
揉んでしっとりした新芽(葉)を再びホットプレートに移す。このときのホットプレートの温度は100~150℃くらいにする。揉みながらの乾燥は、温度が高すぎると、新芽(葉)の表面だけが早く乾いて、粉ばかりのお茶になってしまう。ホットプレートは蓋をしないで、新芽(葉)全体に熱が加わるように攪拌しながら加熱する。新芽(葉)が熱くなったら再び取り出して揉み、新芽(葉)の内部から水分を滲ませ、全体がしっとりするまでよく揉む。
これを数回から10回程繰り返す。ホットプレートに長く載せておくと、表面だけが乾燥して、パサついた状態となり、揉んだ時新芽(葉)の組織が壊れて粉々になる。いつもしっとりした状態で乾燥するのがうまく作るコツだ。ホットプレートに揉んだ新芽(葉)を戻すときには粉を入れないようにする。粉が入ると、粉が焦げて、焙じ茶のような強い焦げ香がついてしまう。ただし、粉には新芽の味のよい芯の部分が多く含まれているので捨てないでおく。
新芽(葉)の乾燥が進み、揉んだ新芽(葉)を塊にして両手で強く握り、手の力を抜いた時フワーと塊が解ける状態になったら最後の工程の乾燥に移る。

3.乾燥

乾燥は、ホットプレートの温度を100℃くらいに下げ、プレートの上にお茶を均一に広げ、更に、分けておいた粉の部分もホットプレートに一緒に入れて20分ほど行う。時々攪拌する。
これで出来上がり。後は、急須に入れて、楽しんでください。ホットプレートで作るお茶は、最初、熱したプレート上で新芽(葉)を炒るようにして殺青するので釜入り風となる。香り高い中国緑茶のような感じの緑茶ができる。  釜炒り風でなく普通の蒸し製の煎茶を簡単につくりには、ホットプレートではなく、電子レンジを使う。
簡単に作り方を紹介すると、まず、新芽をビニール袋に入れ電子レンジで数分間加熱する。袋の中は、新芽の水分で蒸された状態となる。袋から取り出した新芽(葉)を両手でよく揉み、皿に広げて、1分ほど電子レンジへ。取り出してよく揉む。これを数回から10回ほど繰り返す。乾燥も電子レンジで行う。乾燥しすぎると焦げて燃えてしまうので注意を。こうすれば、蒸し製の煎茶ができる。
釜炒り製、蒸し製、どちらも自分で作ると味は格別。おためしあれ。

(堀川 知廣)

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