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抹茶の品質と種類

抹茶には、濃茶用のものと薄茶用のものがあります。両者の間には、製法上の違いなどはありません。ただし、濃茶用のものは、苦渋味のとくに少ない抹茶が用いられています。また抹茶には、銘がつけられる場合があります。よく知られた銘に「はつむかし初昔」、「のちむかし後昔」があります。この二つの銘は、江戸時代初期(1697年)に刊行された『本朝食鑑』にも記載されています。これらの他、『本朝食鑑』には「いのむかし伊昔」、「鷹の爪」といった名も見られます。こういった抹茶は、当時上級品だったようです。

一方、抹茶は製品が微粒な粉末状であるため、酸化や温度、湿度、光の影響を特に受けやすいお茶です。そのため、品質を低下させない保存法に留意する必要があります。前記の影響を受けると、抹茶は鮮やかな緑色が失われ、褐変して黄色味を帯びてきます。また、粉末の中に「だま」が混ざった状態にもなります。よって特に開封後の保存は、空気に触れないよう完全密封し、低温で湿気の少ない暗所におく必要があります。

近年では、包装する際に酸化防止のため、「窒素ガス」を封入し、販売されている抹茶もあります。このように包装された未開封のものは、冷凍庫に保存しておけば、かなりの長期保存が可能です。しかし、早めの飲用を心がけた方が賢明です。

(参考文献)

岩淺潔(1991)「茶の包装と保蔵」,『茶の科学』,67-74.朝倉書店
島田勇雄訳注(1977)『本朝食鑑2』(東洋文庫312),116-124.平凡社
中林俊郎 伊奈和夫 坂田完三(1991)『緑茶・紅茶・烏龍茶の科学と機能』弘学出版
渕之上康元 渕之上弘子(1999)『日本茶全書-生産から賞味まで-』農山漁村文化協会

(坪内 淳仁)

上:抹茶の濃茶/下:抹茶の薄茶