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手揉み茶について

手揉茶が製造されたのは、約1400年頃隠元禅師らが持ち込んだ釜炒り製法の回転下揉みの技術を応用した宇治流手揉み煎茶製法が最初と言われています。この製法は従来からある碾茶製造の技術と揉む技術を組み合わせ、糸をよりあわせたような細長い形をした茶ではなかろうかと推察されます。

1835年に宇治の茶商、山本嘉兵衛氏が玉露製法を発明した後、この製法が煎茶の手揉み製法技術の改良につながっていきました。本県の伊久美村小川(現、島田市伊久美)在中の坂本藤吉氏が1838年、宇治の製茶師又兵衛他数名を招き、製茶工場、焙炉(ほいろ)を設置し、近隣の有志を募り、その技術を3年間伝習させました。その後継者は数十人になりました。幕末から明治に入ると茶の輸出が盛んになり、茶園の造成とともに煎茶手揉み技術は更に改良され、各人が技術を切磋琢磨し、コクリ、転繰り(でんくり)などの操作技術が発明されました。その結果、県内には各手揉み流派が派生し、流派が多くなった結果、輸出用緑茶に向く製茶技術が求められ、各流派の良い技術を取り入れた手揉み技術を(1905年)明治38年式製造法として広く一般に宣伝し、38年式手揉み製茶方法技術として統一をしました。

手揉み製茶は熟練した茶師が製造すると、濃緑で光沢ある針のような形状を持つ煎茶が出来るが、その労働と技能修練の大変さ、製茶量の少ない等で機械化の方向へ進みました。手揉み製茶技術を持つ人が少なくなくなるのを憂いた有志(8人)が手揉み製茶技術の伝承を目的とし、1959年(昭和34年)静岡県手揉製茶技術保存会が発足しました。手揉み製茶技術の向上の為、各地の技術講習会、技術競技会、全国手揉み茶品評会、献上茶謹製事業等多くの活動を行っています。

(高橋 宇正)

上:コクリの操作(毎年行われている手揉み技術競技会)/下:38年式手揉み製茶法(画像をクリックしてください)