ホーム > おしえてTea Cha! > 茶の栽培 > 静岡の優位性

ここから本文です。

静岡の優位性

平成11年度の静岡県の茶園面積は21,000ha(全国比41.4%)、荒茶生産量は39,100t(全国比44.2%)で、茶の生産では他府県を大きく引き離しています。 茶樹は亜熱帯地域の森林の下ばえとして生育していた植物で、比較的温暖な気象環境を好みます。しかし、暖地における茶の栽培では生産量は多いものの品質がやや劣り、一方、寒冷地では品質はよい傾向があるものの寒害や凍霜害を受けやすく生産量が安定しないとされています。

茶樹の気温から見た日本での栽培適地は、年平均気温が14~16℃の範囲にあり、冬場の最低気温が-5~-6℃程度におさまる地域とされています。静岡県は東西に広がりを持った地形をしていますが、北部の御殿場や井川、南部海岸線沿いの清水(興津)や御前崎、比較的海に近い静岡市や浜松市の市街地および標高の高い地域などを除くと、残りのほとんどの地域が上の条件をほぼ満たします。

また、茶の栽培には、降水量が年間1,500㎜以上、特に3月から10月までの生育期間には1,000㎜以上必要とされていますが、これらの条件にも静岡県内のほぼ全域が適合しています。

このように、気象面から見た適地が大変に広いことが、静岡の優位性の一因であると言えます。

一方、静岡は茶栽培の長い歴史を持ち、多くの人々のたゆまぬ努力が積み重ねられてきました。この歴史の中で広大な茶園が開発され、また優れた栽培技術が蓄積され、栽培管理機械や製茶機械などを生産する企業も育ってきました。さらに、県内には荒茶の仕上加工業者が約600社あり、全国各地から荒茶が県内に流通し、その流通量は全国生産量の7割近くにも及びます。このため、茶の生産、加工、流通に関係する経験や企業、組織なども充実しており、これら生産から流通までを支える層の厚さと充実度が静岡県茶業の優位性の2番目の要因であると言えるでしょう。

(参考文献)

岩浅潔 、養賢堂、茶の栽培と利用加工(1994)

(社)静岡県茶業会議所、新茶業全書、8版(1988)

静岡地方気象台、静岡県気象月報(1986.1~1999.12)

静岡県農政部、茶生産指導指針(1994)

(画像をクリックしてください)