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茶のルーツ

茶という呼び名は、私たちの近代文明や文化の興るよりはるかな昔よりありました。

したがって、私たちが茶と呼ぶときには、茶の木がありそれを利用するために加工します。そしてその加工したものを飲む、という文化があります。さらには、茶には同じ飲み物でも目に見えない精神文化として、仏教との結びつきがあり、とりわけ禅宗との関わりが深いわけで、茶のルーツという中にはこれらのルーツから説明しなければなりません。

茶の木のルーツ

茶の原産地として古くからいわれているのが中国南部の雲南省とベトナム、ラオス、タイ、ミャンマー、そしてインド東部のアッサムなどが接する山地といわれてきました。最近の研究では、茶の原産地といわれるこの地方では、茶の木は原産しているが、製茶、飲茶の文化は後年になって伝えられたことが明らかとなりました。

茶の文化(製茶、飲茶)のルーツ

茶の木は雲南省南部地方の山地に原産し、雲南省から北方の貴州省、さらに北方の湖南省、湖北省へと連なる山地、「雲貴高原」を北上して湖南省、湖北省、さらに四川省の境を接する「武陵山」地域の山地で、南下して来た漢族、漢文化と接触して発生したようです。

精神文化のルーツ

茶の持つ精神文化は禅宗との関わりが深く、その禅宗と茶の結びつきは、伝説的には「達磨大使」といわれていますが、茶の文化の発生地と禅宗の関係は明らかになっていません。湖北省、湖南省辺りとも考えられます。

(松下 智)