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抗アレルギー作用

アレルギー反応は4つの型(I,II,III,IV)に分類され,I~IIIは抗体が関与し,抗原(アレルゲン)の暴露に対して短時間でアレルギー症状を呈するので即時型といわれます。 アトピー性皮膚炎をはじめ,アレルギー性鼻炎, 気管支喘息,じんま疹など一般によく知られるアレルギ-反応はI型に属します。 Ⅳ型は,抗体とは無関係にアレルゲン特異的に反応し活性化されたTリンパ球によって引き起こされる反応で,症状が現れるまで数日を要するので遅延型ともよばれ,接触性皮膚炎や膠原病などがこの型に属します。

I型アレルギーの発症は、ある種の食品や花粉、ダニなどによりつくられるそれぞれの特異的抗体(IgE)を介して,肥満細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質を遊離することにより引き起こされます。そのため治療薬としては抗ヒスタミン剤や肥満細胞からの化学伝達物質の遊離抑制作用を有する薬が多用されます。

茶の主要な機能性成分であるカテキン類、特に茶に特有でその含量が最も多いエピガロカテキンガレート(EGCg)には肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制作用があることが知られています。 最近、このEGCgの構造の一部がメチル化された2種類のEGCgメチル化体が、強い抗アレルギー作用を示すことが報告されました。

これらの活性成分は紅茶品種として日本で開発された”べにほまれ”や ”べにふうき”, また、台湾の凍頂ウーロン茶など一部の品種に含まれることもわかってきました。さらにEGCgメチル化体はIV型アレルギーに対しても効果が認められています。これらの結果は、細胞やマウスなどを用いた動物実験レベルでの成果であり、今後、臨床的評価を得る必要がありますが、アレルギーに対するこれら成分を含む茶の飲用の効果を期待したいと思います。

(参考文献)

  1. 木村郁郎 他:アレルギーの理論とその展開、医薬ジャーナル社(大阪)、1991
  2. 山本(前田)万里:アレルギーを抑制する茶成分、食品工業,41,50-54(1998).
  3. Sano M., et al.: Novel antiallergic catechin derivatives isolated from oolong tea, J.Agrc.Food.Chem., 46,1906-1910 (1999).

(佐野 満昭)

I型アレルギーの発生過程 (画像をクリックしてください)