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山の息吹 ─ 香気に富んだ早生種、やぶきたとの組み合わせ栽培に適す─

品種の特徴

「山の息吹」は「やぶきた」より四~五日早い早生種で、樹姿はやや直立型、樹勢の極めて強いものです。成葉は先端長がやや短いだ円形で、葉色は緑色です。摘採期の芽揃いは良好で、百芽重のやや小さいものです。収量性は「やぶきた」並で、耐寒性は赤枯れ抵抗性には強く、耐病性の炭そ病にも「やぶきた」に比較してやや強いものですが、立枯れ症やクワシロカイガラには「やぶきた」程度に弱いものです。

品質特性

早生種ではあるが、水色・香気・滋味の内質は非常に優れています。特に、新緑を感じさせる軽やかな香気に、渋味の少ない十分な旨味が感じられるものです。また、化学成分的にも、旨味成分と言われるアミノ酸やテアニン含量が高く、渋味成分のカテキン含量が少ないものです。

栽培上の注意点

樹勢が旺盛で、樹姿がやや直立型のため、幼木期の仕立てに注意し、株張りの確保に努める必要があります。また、早生種のため凍霜害対策には万全を期す必要があります。その他、立枯れ症状やクワシロカイガラムシには「やぶきた」程度に弱いため、その防止対策が必要です。

加工上の注意点

「山の息吹」は水色に比較し、旨味が強く、渋味の少ないものです。製造法については、今後詳細に検討していく必要もありますが、蒸し度は三十秒程度で形状や色沢などの外観が優れ、香気、水色および滋味などの内質は四十五秒程度が優れていました。

普及および栽培適地

「山の息吹」は、早生種ではありますが、耐寒性が「やぶきた」程度に強く、炭そ病抵抗性に強、樹勢が旺盛なため、「おおいわせ」以上に広い適応地域幅を持っています。しかしながら、早生種のため、温暖地域で凍霜害の少ない地帯が栽培に適します。

月刊「茶」(社団法人静岡県茶業会議所)より転載

(中村順行)