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つゆひかり ─ 炭そ病に強い良質多収品種 ─

品種の特徴

「つゆひかり(仮称)」は、静岡県茶業試験場において、昭和45年に「静七一三二」を母親、「あさつゆ」を父親として交配され、選抜されたもので、系統名「七〇―三〇―三〇二」として栄養系比較試験、奨励品種決定試験を経て、平成12年に種苗法に基づく品種登録を出願したばかりの新しい品種です。平成13年4月から静岡県の奨励品種になりました。
「つゆひかり」は、萌芽期及び摘採期が’やぶきた‘より二日程度早いやや早生種です。樹姿は中間型で、株張りは大きく樹勢が極めて強く、新芽は芽重型で多収性です。成葉は緑色の長卵形で葉縁の波はやや少なく、新葉は鮮やかな淡緑で葉形は長楕円形と楕円形の中間です。
耐寒性の赤枯れ抵抗性は「やぶきた」より強く、耐病性は炭そ病には極めて強く、もち病に「やや強」ですが、赤焼病は発生が認められるので防除が必要です。

品質特性

一番茶の品質は、色沢が明るい緑色を示し、水色は明るく良好で深蒸し傾向にすると、きれいな緑色傾向を示します。香味は特徴あるさわやかな香気を有し滋味は温和です。

栽培上の注意点

耐病性及び耐寒性に優れるので比較的栽培管理しやすい品種ですが、樹勢が強く芽重型になりやすいので、芽数が増えるように仕立てや整・せん枝する必要があります。

加工上の注意点

製造方法は今後詳細に検討する必要がありますが、「つゆひかり」のさわやかな香気と明るい水色の特徴を生かすような製造が望まれ、蒸し度や工程中の茶温などに注意が必要です。

普及および栽培適地

耐病性および耐寒性に優れるので、地域適応性は広く静岡県では全域に適します。
炭そ病には極めて強いので農薬削減が可能であり、環境に優しい栽培に向く品種です。
また、やや早生種ですので「やぶきた」との組み合わせ栽培にも適します。

月刊「茶」(社団法人静岡県茶業会議所)より転載

(小柳津勤)