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りょうふう ─ 干ばつなどのストレスに強く、丈夫な中生品種 ─

栽培上の特性

挿し床での発根、生育は良好で、育苗が容易です。定植後の活着、生育も良好で、樹高、株張りともすぐれます。樹姿はやや直立型で、仕立ては容易、機械化栽培に適しています。耐寒性は強いですが、裂傷型凍害に対する抵抗性は「かなやみどり」より少し劣ります。耐病性に対する抵抗性は、炭そ病に対してはやや強、輪斑病に対しては強で、「やぶきた」より強いです。

製茶特性

萌芽期は「やぶきた」より4日遅い中晩生です。一番茶の収量は「やぶきた」より多収です。一番茶品質は、色沢が明るい緑色で、水色は透明感があり、渋味は強くうま味があり、すっきりとして良好です。渋味もほどほどにありますが、うま味とのバランスがいいです。二・三番茶とも「やぶきた」より多収で、品質も良好です。

加工上の注意点

出開きにくく、新芽の形が他の品種と異なるので、摘採適期の判断を間違えないように注意して下さい。

普及にあたって

新品種に対する期待の一つとして、「やぶきた」と異なる香味であることがあげられます。吉川さん(清水市)は、個性的な品種ということで「りょうふう」を導入することを決めていますが、
個性とわがままとは違います。茶は伝統的でデリケートな嗜好飲料で、植えてから三十年以上栽培できる永年性作物です。単に変わっているだけで栽培上も問題があるというのでは、人間でいえばわがままに相当し、用途が限定され、大規模に取り入れるのは危険です。栽培形質が揃った上で、茶としての許容範囲の中で、香や味に個性を主張することが必要だと思います。「りょうふう」は、生育が良好で、収量も安定していて、製茶品質についても許容の範囲内で、嗜好の多様化に対応できる品種であると考えていますが「やぶきた」のように上品、「あさつゆ」のように甘味があり濃厚、「おくゆたか」のように優雅な味ではありません。そのことを納得された上で、品種組合せの候補のひとつとして導入を検討して下さるようお願いします。

月刊「茶」(社団法人静岡県茶業会議所)より転載

(池田奈実子)