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めいりょく ─ 干ばつなどのストレスに強く、丈夫な中生品種 ─

製茶特性

芽の伸び、揃いがよく、安定してかなりの多収が期待できます。品質は、育成当時は、うま味が少なく、味が薄いのではと心配されましたが、逆にそれが、くせがなくすっきりとしていると、現代の嗜好に合って、いい方に評価されています。香りもさわやかで、色沢も明るくてきれいです。

栽培上の注意点

樹勢が強く、分枝数が多く、樹姿は中間型です。成園化が早く、仕立てがしやすく、つくりやすい品種です。耐寒性も強いです。重要病害である炭疸病、輪斑病に強く、これらの病気に対する防除はほとんど必要ありません。幼木期に赤焼病が発生することがありますが、成木ではほとんど発生しません。
「めいりょく」は、いわゆる肥料食いの品種です。黒田さんのお話のように、「やぶきた」と同じ量では、味も色もやや薄くなるようです。数年前から、茶業では肥料のやり過ぎが問題になっています。こくのあるお茶は他の品種でつくるとして、「めいりょく」ではさわやかな香気と味を活かした栽培や製造を工夫して下さるようお願いします。

加工上の注意点

摘採期は中生ですが、厳密には「やぶきた」より一~二日早いです。樹勢が強く、新芽の生育がおう盛で、出開きにくい性質がありますから、摘採適期を逃さないように注意して下さい。ややみる芽で摘採すると形状もよくよれて、内質も良くなりますが、適期を過ぎると極端に品質が低下しますので、さらに一~二日早めの摘採をおすすめします。「めいりょく」は、もともと多収なので、早めに摘採しても「やぶきた」以上の収量を確保できます。結果的に二~三日、「やぶきた」より早出しできるので、単価は少々下がっても収益では上回ることができます。

普及および栽培適地

静岡県での栽培面積は二六・八ヘクタールです。四国で増えたのは、一九九三年の干ばつがきっかけです。一九九八年三月号でも紹介しましたが、香川県では、干ばつの時に「めいりょく」が強かったということで、それ以降積極的に導入をすすめており、栽培面積は、一三ヘクタールに広がっています。高知県では、一九九八年に推奨品種に指定されて、高冷地の東津野村などで七ヘクタールが栽培されています。沖縄県でも導入されています。

月刊「茶」(社団法人静岡県茶業会議所)より転載

(池田奈実子)