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紅茶と緑茶の戦い

紅茶は西洋文化、緑茶は東洋文化。そう思われてきましたが、最近、世界中で緑茶が話題になりつつあります。

多くの日本人には緑茶イコール日本茶と思う方が多いと思いますが、実際は中国人もよく緑茶を飲んでいます。紅茶が発酵茶ならば緑茶は未発酵茶と広く考えてください。

今、緑茶が脚光を浴びて紅茶か緑茶かというくらいに拮抗してきています。これは生活の中でお茶をどう位置づけ、またお茶に何を要求するかということが争点で、このポイントが変わっててきたことで緑茶に注目が集まってきたと思われます。

紅茶の持つイメージの中には、生産国の飲み方よりも西洋的なゆとりの文化が染み付いています。対する緑茶は、東洋的な精神文化および東洋的な健康思考を伴っています。現在、世界的に健康思考や東洋思想を尊重する傾向が出てきました。この人々のニーズにフィットする形で、緑茶文化へと移行しつつあるように思われます。かといって紅茶がなくなっていくというとらえ方をする必要はないと思います。ただ緑茶が求められている理由として、最近の健康重視の風潮とともに、せわしない現代生活の中で東洋的な「癒し」、精神的な休養が必要になってきたことを頭に入れておく必要はありそうです。

さて昔にも緑茶がヨーロッパに運ばれて飲まれたことがあります。今でこそそのまま飲む方もいますが、その頃は紅茶のようにミルクを入れたり砂糖を入れたりして苦いお茶をいろいろな工夫を凝らして飲んでいました。この10年来、日本や中国、台湾、インド、スリランカそしてアジアのいろいろな国で作られた緑茶に香りをつけた着香茶や紅茶とブレンドしたものなどがアメリカやフランス、ドイツ、イギリス、そして最近では北ヨーロッパでも販売され飲まれています。

時代が変わっても飲みやすくアレンジするのは昔と同じ。苦味があるが体によいと注目を浴びはじめた緑茶は、砂糖を入れるという方法に代わって香りをつけ、ノンカロリーで飲みやすく、また時にはカクテルのように果汁と混ぜたりとさまざまな方法で広がりつつあります。もちろん日本の緑茶文化を多くの国の方が理解し私たちと同じように何もいれない飲み方も広がりつつあります。

では日本の緑茶は世界に受け入れられるのでしょうか? 日本の緑茶には価格面や味覚上の好みの違い、そしてもっとも大きな問題として農薬の問題が世界基準と大きな差があります。まだまだ日本の緑茶が世界に広がるのには多数のハードルを超える必要があるでしょう。

(松宮 美恵)