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茶席の懐石料理

茶の湯におけるお茶事では、その季節やお茶事のテーマに合わせた懐石料理が亭主によって客に振る舞われます。
古くは「会席」の字が使われましたが、修行中の禅僧が空腹を紛らわすため、と呼ばれる暖めておいた石を懐に抱いて自らの空腹感をしのいだことから、そのような簡素で僅かばかりの軽い食事と言う意味で「懐石」の字が用いられています。

茶の湯の大成者である千利休はこの懐石料理の内容を一汁二菜もしくは三菜、つまりご飯の他に汁物、、煮物、焼物とし、料理の世界においても侘びの世界を表現しました。

現在よくおこなわれる正午の茶事などでは、先ず最初にに一口ほどのご飯とみそ汁、それに刺身のお造りやの盛られた向付が出されます。つづいて煮物、焼物、吸物、そしてが振る舞われます。八寸とは一辺が八寸(約24㎝)ほどの白木の折敷のことで、この上に季節を彩る山海の珍味が添えられます。この間、三献といって煮物、焼物、八寸が振る舞われる際に、亭主が招客にお酒を注いで回り、歓待します。そして最後に「こがし」と呼ばれる焼き米に熱湯を注いだお吸い物とたくあんや白菜などの香の物が出されます。

茶席ではこのような懐石料理は亭主の心づくしのもてなしが込められており、お茶事における楽しみの一つとなっています。

(望月 伸嘉)