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中国茶の茶道

日本では、茶道という茶を使った独特の精神文化を発達させました。最近、台湾、中国本土、香港、シンガポール、マレーシアなどで精神修養も加味した「茶芸」が盛んに行われています。

これは、1970年代社会環境の変化に翻弄される若者の精神的支柱として、台湾において作られたものが基になっています。1977年台北市内に設立された一軒の茶芸館が、今では3000軒以上に達し、最近は、上海、杭州、北京など中国本土各地、香港などにも急増しています。ここでは、主にウーロン茶を使い一定の手順に沿ってお茶が入れられ、客に供されます。精神を静めてお茶を入れ、お客をもてなす思想は日本の茶道と同様です。

最近は、各種のお茶を使い、それぞれに新しく創作された「茶芸」が行われるようになり、ショー化しつつあります。また、道具や衣装も派手になり、このような皮相的な茶芸の流行に異議を唱える人たちも出始めています。また、中国では、児童の徳育教育に茶芸を導入しています。1992年、上海に始まったこの運動は中国各地に広がり子供達の課外活動として、茶に対する認識の普及と公徳心養成に効果を上げているようです。

このように、点前や喫茶所作を通じての精神活動は、その他の国でも認識され、韓国でも、最近、積極的な茶道の普及がはかられ、茶道人口が急増しています。

一方で、精神性が薄れ、芸事的、商業的になりすぎた現状を憂い、かつ流派や流儀にとらわれない国際的な茶道の集まりも行われています。1989年、台湾の蔡栄章氏により提唱された「無我茶会」です。これは、国や人種、流派などに一切こだわらず、各自自分の簡易な茶道具を持ち寄り、野外で輪になって茶を点て、隣人および参会者に茶を振舞うものです。2年に一度「国際無我茶会」として各国持ち回りで開催するまでに発展しています。

(小泊 重洋)