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フィルター

最近家庭用ルームエアコンや空気清浄機等のフィルターにお茶カテキンを添着させたものを目にします。このカテキンとは一体どのようなものかと言いますと、お茶を飲んだときに渋味や苦みを感じることがありますが、この渋味や苦みを呈する成分がカテキン(タンニンの種類)です。

お茶のカテキンは、(-)-エピガロカテキンガレート、(-)-エピカテキンガレート、(-)-エピガロカテキン、(-)-エピカテキン、(+)-ガロカテキン、(+)-カテキンの6種類あり、なかでも(-)-エピガロカテキンガレート(―EGCG)が一番多く含まれています。このカテキン類には抗菌、脱臭作用をもつことが分かっています。

抗菌作用については、通常の煎茶飲用濃度でボツリヌス菌を死滅させるか、たとえ生存していても毒素を産生しないことが認められています。

近年問題になったO-157菌に対してもお茶カテキンの殺菌効果が認められているのはご承知のことと思います。そして脱臭作用については、お茶カテキン類が悪臭物質に対して化学的に分解消臭します。例えば、魚を茶煎汁で煮ると、生臭さがとれます。これは揮発性のアミン類がカテキン類と結合して、不揮発性物質に変化することによります。このように空調用フィルターにお茶カテキンが持つ抗菌消臭作用を利用することにより、集塵以外の効果が期待できます。

また近年、住宅の気密化に伴い、揮発性有機化合物の1つであるホルムアルデヒド等によるシックハウス症候群が問題になっています。最近このホルムアルデヒドに対してお茶カテキンを塗布したフィルターに捕捉能のあることが分かってきました。そのためお茶カテキンをホルムアルデヒドのキャッチャー剤としても利用可能となり、今後様々な用途への応用が可能になってくると思われます。

(参考文献)

茶の栽培と利用加工 岩浅 潔 編著 養賢堂
第48回日本木材学会大会研究発表要旨集(1998) 高垣ら
暮らしとカテキン (社)静岡県茶業会議所 緑茶カテキン染連絡協議会
(中村 茂和)

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