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茶染めのTシャツ、ハンカチ、靴下

「お茶グッズ」の中でもお茶染めは最も目を引く商品の一つではないでしょうか。

お茶染めのTシャツやハンカチ、靴下などが静岡県内のいくつかのお茶のテーマパークや一部のお茶専門店などで売られています。これらのお茶染め商品の特徴として、主に茶カテキン類の持つ抗菌・消臭効果などの機能性が注目されています。ではこれらの製品はどのようにして作られているのでしょうか。

まず茶染め衣料とは、木綿などの繊維に様々な方法で茶を吸着させて作られた物を言います。その方法は大きく分けて二つあり、一つはお茶を染料として用いる場合と、もう一つは染色には別の染料を用いて、その上に茶の成分であるカテキン類などを吸着させて機能性を持たせた物があります。前者では昔ながらの草木染めの手法を用いており、茶の煮出し液を生地上に引いた後、媒染剤をその上に引くことにより茶染めをします。市販品のほとんどはこの方法が用いられており、工業的に金属塩(媒染剤)による媒染処理が行われています。色については、お茶染めだから茶色、あるいは緑色ということはありません。媒染剤の種類によって様々な色に染色します。主にカテキン類の持つ抗菌性や消臭性、抗アレルギー性など、機能性をうたった茶染め製品が開発されています。

ところで最近では新しい技術による茶染め衣料が研究されています。これまでの金属塩(媒染剤)を用いる方法とは異なり、直接染料で染色後にフィックス処理という技術を用いることによりカテキン類を吸着させる方法が開発され、ファッション性のある茶染め製品開発が可能となりました。これが二つ目の方法です。さらに、カテキン類のみならず茶の非カテテン類成分を利用した紫外線防護などの機能を持つ茶染め衣料(茶成分吸着衣料)も研究されています。

この新技術を用いた茶成分吸着衣料は2000年8月現在まだ市販されていませんが、静岡県浜松工業技術センターと民間企業の共同で引き続き新製品の開発や、これらの製品のもつ機能性の評価について研究が続けられています。「飲む」、「食べる」から「着る」へと利用法の拡大と普及がすすみ、すでに市販されている商品とあわせてお茶染め(カテキン染めや非カテキン茶成分染めなど)新商品がたくさん市場へ出ることを期待しています。

(参考書籍、文献、雑誌)

1.宮松他:茶染め繊維製品の製造法、特開平6-173176

2.前嶋義夫、長津義之、石原彰浩、木野浩成、:繊維製品への茶カテキンの応用、静岡県浜松工業技術センター研究報告、8,13-16,19983.社団法人静岡県茶業会議所:茶多用途利用調査報告書、56,1999

4.坂井千恵、前嶋義夫、本間信行、深井克彦、南条文雄、原征彦:茶抽出物非カテキン成分の繊維への応用、平成12年度浜松工業技術センター研究発表会要旨集【繊維技術分野】、13-14,2000

(写真提供:静岡県茶業会議所)

(渡瀬 隆也)

上:茶染めの靴下/下:茶染めのTシャツ、ハンカチ、靴下