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「やぶきた」とは

静岡県在来種の実生から明治41年、静岡市内の民間育種家杉山彦三郎により選抜された茶の品種です。品種名の‘やぶきた’は、竹藪を開墾して茶種子を播種して、その中から選抜した2系統のうち北側にあったことから命名されました。

昭和40年代までは毎年徐々に進んでいた在来茶園から品種茶園への植え替えも、昭和50年代にはいると急速に進み、平成10年度における品種の普及率は95.6%に達しました。ちなみに、平成10年度に栽培されていた品種のうち93.9%が‘やぶきた’です。この‘やぶきた’偏重の傾向は品種の普及がようやく23%に達した昭和47年にすでに見られ、このときの品種茶園うち88%が‘やぶきた’でした。

この様に‘やぶきた’が偏重されたのは、‘やぶきた’が広域適応性品種であるとともに、煎茶としての品質が極めて優れ、集約的管理を行えば高い収量を上げることができたので、農家や流通関係者、消費者に強く支持されたためと考えられます。

一方、‘やぶきた’は新芽の熟度が進むに従い品質の低下が著しく、適期摘採を逃さないようにする必要があります。このため、特に茶園ごとの気象条件の差が小さい平坦地域などでは、‘やぶきた’一品種に偏った経営は摘採期が集中するため製茶工場の操業期間を長く取ることができず、無理な操業や生産コストの上昇につながりやすく、早・中・晩生品種の適当な組み合わせを進めるよう指導が進められています。

(参考文献)

(社)静岡県茶業会議所、新茶業全書、8版(1988)

(社)静岡県茶業会議所、杉山彦三郎翁伝(1973)

静岡県農政部、茶生産指導指針(1994)

静岡県農林水産部、静岡県茶業の現状(1973)、(1984)、(2000)

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