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お茶の1ヘクタールの収穫量

日本のように四季のある気候では、お茶の木は、冬には低温と短日条件により休眠(生育が停止すること)します。そして、春の訪れとともに新しい芽が芽生えてきます。その年に初めて出てきた芽を収穫したのが一番茶、次に出てきた芽を収穫したのが二番茶、次が三番茶となります。

農作物には果実を収穫するもの(イネ、ミカン、イチゴなど)、根を収穫するもの(イモ類など)など様々です。お茶は新芽を収穫目的とする永年性作物です。例えばイネでは、収穫するのが最もいい時期、すなわち収穫適期がはっきりしています。適期を外して収穫すれば品質が劣りますし、適期を過ぎても収穫量が増えるということはありません。イネでは玄米重で1ha当たり5,000~6,000kgが標準的な収量です。お茶は毎日少しずつ伸びている新芽を収穫するので、収量は収穫時期が遅れるほど増えます。

一方、品質は極端に早摘みすると劣りますが、基本的には新芽が軟らかい時期に収穫した方がうま味成分の濃いお茶ができます。どの時期に収穫するかは農家の判断ですが、一番茶初期の手摘みの段階で1ha当たり3,000~4,000kg、1ha当たり4,000kg位からハサミ摘みに移行し、一番茶後半には10,000kgから15,000kgになる場合もあります。二番茶は一番茶と同等かやや少ない程度です。

静岡統計情報事務所の資料によれば、静岡県の1ha当たり生葉収量(摘採面積当たり)の過去10年間の平均は、一番茶4,633kg、二番茶4,653kg、三番茶3,225kg、四番茶2,534kg、秋冬番茶2,902kgです。ただし、二番茶以降、特に三番茶、四番茶、秋冬番茶は収穫しない茶園が増えているため、静岡県全体の一番茶生葉収穫量を100とすると、二番茶75、三番茶4、四番茶2、秋冬番茶12となります。

製茶は、水分70~80%の生葉を水分5%の荒茶に加工するので、生葉100kgからできる荒茶の量は20~22kgと約5分の1になります。(参考文献)

静岡県土壌肥料ハンドブック

「茶の栽培と利用加工」養賢堂

(平井 文博)

一番茶の収量および品質の推移(佐波哲次、1989)(画像をクリックしてください)