ここから本文です。

審査

茶の品質の善し悪しを判定することを審査といいます。通常茶の審査では、人間の五感により判定する官能検査法が採用されています。このため普通審査法とも呼ばれます。官能検査法は、対象とする茶種や審査の目的によって、検査の手順や評価基準も異なります。一般には茶の形や大小を評価する形状の項目、色や艶の良否を判定する色沢の項目、お湯で浸出したときの液体の色を判定する水色(すいしょく)の項目、香りの良否を判定する香気の項目、飲んだときの味を評価する滋味の5項目で行われます。この他に抹茶の原料であるてん(碾)茶や紅茶、ウーロン茶などの審査では、茶殻も審査の対象となります。てん(碾)茶では殻色、紅茶やウーロン茶では葉底と呼び区別します。

毎年全国各地でお茶の品質を競う審査会が開催されています。地域、市町村単位の審査会から県あるいは全国規模の大きなものまで、数多く開催されます。これらの審査会では、審査項目毎に最高品質のものを満点として、減点法により付点され、合計点で順位を競います。また、実際の茶の加工、流通の場面では、茶の欠点や特徴を把握する目的で官能検査が行われます。その結果は製造技術の改善や異なるお茶のブレンドに生かされています。

官能検査は、微妙な品質の違いを五感を用いて判定することから、誰にでもできる技術ではありません。審査技術の習得には、長い間の訓練と経験、鋭い感覚が要求されます。また、審査基準も長い間、専門家によって検討されてきたもので、消費者の嗜好とは必ずしも一致しません。審査員個人の五感によるため主観的な評価となり易いなどの欠点もありますが、精密な成分分析機器が進歩した現在でも、茶の品質を最終的に判定するのはやはり熟練した審査員の官能検査であることに変わりありません。

(後藤 正)

五感による茶の官能検査風景(香気)