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茶樹の植え方

茶樹の繁殖・定植

日本の茶の起源は、中国(唐)へ留学した僧侶達が、種子を持って帰ったのが始まりといわれるように、もともと茶の繁殖は、種をまいて行われてきました。

しかし、この方法では、一つ一つの茶の木の、性質にばらつきが出やすいということがありました。優良で均一な茶の木だけで茶畑を造成することは、とても難しいことでした。

近年になって、優良で均一な品質の茶が、今まで以上に求められるようになってきました。そこで、現在では、優良な茶の木から枝を取り、挿し木をして増やすことが一般的に行われています。

挿し木の手順

1.挿し木の時期

6月下旬~7月上旬に挿し木した場合、最も成功率が高くなります。九州など西南暖地では、秋に挿し木をする場合もありますが、相当の技術と熟練を要します。

2.挿し木用の木(親木)の準備

挿し木をする場合、枝を取るための木を準備しなければなりません。通常、一番茶を刈らずに、伸ばした枝を使用します(挿し木用の木から、茶生産用の生葉を取ることはできません)。

3.挿し木用の土の準備

挿し木でたいへん難しいのは、水やりの加減です。土をある程度工夫すれば、水やりはかなり楽になります。

挿し木の床土としては、赤玉土と鹿沼土を1:1の割合で混ぜたものがよいとされますが、同様の保水性、排水性を持った土であれば、畑の土を使用してもさしつかえありません。

畑の土を使用する場合、1.5cm目のふるいで、小石や土のかたまりを取り除き、土壌消毒をして使用します。

なお、最近では、コンテナポット育苗が急速に普及してきました。

4.穂木の調整

親木から枝を取り、2節2葉に調整したものを穂木とします。

枝の褐色の部分と、緑色の部分の境目あたりから取った枝が、もっとも成功率が高くなります。また、枝の先の方から取った穂よりも、枝の下の方から取った穂の方が管理がしやすく、成功率が高いようです。

使用する枝は、細いものより、太いものの方が、よい苗ができます。

5.挿し木後の水やり

挿し木作業後は、直ちに灌水し、その後1ヶ月ぐらいは、晴天が続く場合は、1日1回程度灌水を行い、挿し木床の乾燥を防ぐようにし、その後、徐々に回数を減らすようにします。

6.その他

(1)水道・・・水やりをするのに必要

(2)日よけ・・・日光の直射を防ぐ光透過率30~40%の寒冷紗、よしずなどを平屋根状に設置する。

(3)風よけ・・・冬季に使用する場合と西日が当たる場合は、西日よけとして通年設置する場合がある日よけと同じ寒冷紗を、苗床を囲むように設置してあるのをよく目にする

(4)温度・・・地温が15℃以上ないと、うまく発根しない。

夏期は、むれを起こさないよう通風をよくする。挿し木床の温度が40℃を 超えると枯れが目立つようになる

苗木の定植

茶苗の定植 苗木の定植は、茶の休眠期に行うのが一般的で、防寒の必要がなくなる3月中旬~4月上旬に定植を行う場合が多いようです。 堀取った苗木は、根を傷めないよう、できるだけ早く植え付けるようにします。

定植後すぐに灌水を行います。灌水後、土寄せを行い、さらに敷き草をして、乾燥を防ぎます。その後、葉が10枚以上残るよう、高さが20cmぐらいのところで剪枝します。

平坦地では畝の両側の生育が均一になるように、南北方向に畝を作るのが一般的です。傾斜地では土の流出を防ぐため、等高線に沿った形で畝を作るのが一般的です。 幼木時期の無収穫期間をできるだけ少なくしようということで、様々な植え方が考案されましたが、現在では、単条植と複条千鳥植が主流となっています。

単条植は、以前から広く使われてきた定植方法です。現在でも、可搬型摘採機を使用する場合、よく用いられます。

単条植の場合、少ない苗木で、広い面積の茶畑を造成することができるメリットがあります。しかも、成園になれば、複条千鳥植と遜色ない収量が期待できます。

しかし、成園になるまで5年以上かかり、その間、その畑からは収入が得られないので、その分を考慮すると、一概に経済的とはいえません。さらに、養成中に枯死した株が生じると、畝がとぎれやすく、生産者に、高い栽培技術が要求されます。

しかし、苗木が入手しにくい状況で茶園を造成する場合、便利な方法で、新品種などを導入しようとする場合、単条植を選択する場合があります。

畝間を180cmにするのは、乗用型摘採機など、多くの管理用機械が、畝間が180cmであることを前提に作られているからで、多くの茶園では150~180cm前後の畝間となっています。

株間を30cmにするのは、これ以上密植しても、生育がよくならないことが経験上、知られているためです。

複条千鳥植は、鹿児島県の茶園造成ではよくみられ、静岡県でも急速に普及している定植方法です。

もともと複条千鳥植は、必要な苗木の本数が、かなり多くなるので、効率が悪い定植方法だったのですが、重量のある乗用型管理機で踏み固められるような畑でも大丈夫なように、複条千鳥植が採用されました。 現在では、栽培技術の向上により、定植から3年で成園となるようになりました。それに伴い、経済的にも単条植の場合と遜色なくなり、静岡県でも採用が増えています。

元々、乗用型管理機や大規模栽培の普及前提とした栽培体系だけに、畝幅は、乗用型管理機の寸法にあわせて、180cmとなっており、株間も複条千鳥にしたときに若干密植になるよう、50cm程度(鹿児島では45cm程度)にする場合が多いようです。

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