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新茶初取引

氷が解けて春となり、4月の中旬には茶畑が一斉に萠芽します。その頃から㈱静岡茶市場が人の出入りで活気づきます。既に発表された本年度の新茶初取引日を目指して、茶農家や茶商、関係者達が動き始めるのです。

新茶初取引日とは㈱静岡茶市場が、その年度に生産される新茶を、公式に取引開始をする日のことであります。勿論静岡県内早場所では僅かずつの新茶生産が始っていますが、プロ野球に例えればそれはオ-プン戦で、この日から公式戦開始というわけであります。 

昭和27年、静岡茶商工業協同組合は、市内茶町を中心にした新茶初取引日を4月20日と決めました。それ迄バラバラの取引が、漸く同一歩調になったのです。それから5年間、毎年の基準を4月20日に決めた新茶初取引日でしたが、その都度不安定な出廻り量となり、新茶価格が大きく上下いたしました。

昭和31年4月に㈱静岡茶市場が創設され、翌年32年の4月26日が、改めて第1回の新茶初取引日に決められたのです。以後、㈱静岡茶市場の初取引日は変動制となり、早い記録は昭和34年の4月16日、遅い記録は4月29日で過去5回ありました。

新茶初取引が何故注目されるのかと云いますと、その年の茶の品質、価格、生産と消費の傾向等、日本緑茶の立ち上り情報がたっぷり提供されるからです。

最近は各茶産地で地域特性を活した新茶初取引を開催するようになりました。2000年の4月10日には鹿児島。4月26日静岡。4月28日京都と三重。4月29日が北伊勢。5月16日滋賀。5月17日は奈良県等です。

(時田 鉦平)

初取引の様子