ホーム > おしえてTea Cha! > 茶の歴史 > 山茶は日本の自生か

ここから本文です。

山茶は日本の自生か

日本の西南暖地の山間には山茶と呼ばれる茶の木があり、日本に古来ある自生茶といわれています。この茶の木が果たして日本に自生したものだろうかについては化石植物、孝古学の研究が進まないと結論は出ません。が、山茶の実態を調査してみると、以上のようなことがいえます。

山茶は人里から遠方にはありません

山茶の分布は民家、畑などから1~2km以内であって5kmや10kmの遠方にはありません。

山茶は焼畑地帯にあります

山茶の分布する所には必ずといえるほど焼畑耕作の形跡があり、その昔焼畑として茶の木を植えていたことがうかがえます。山茶が焼畑地帯に分布することから日本の山茶は弥生時代、古墳時代のものではないかと見られるが、山茶の分布域には弥生、古墳時代の遺跡は全くありません。こうしたことから中世から近世にかけて焼畑耕作が日本の西南暖地に入ってきたのではないか、そしてその焼畑耕作に茶の植栽があったのではないかと考えられます。

日本の照葉樹林帯には茶の木はありません

茶の木はヒマラヤ山麓から中国大陸南部から日本列島へと連なる照葉樹林の構成殖物と見られてきましたが、日本の照葉樹林帯には茶の木は分布していません。それは、小葉種は耐陰性が弱く、照葉樹林下では日光不足で生育できないからです。

山茶には冬芽の形成がありません

山茶に限らず日本の茶の木には冬芽が形成されず、温度条件がよければ何時でも生長します。冬を知らない南方の植物ということになります。

(松下 智)

日本の山茶・焼畑・古墳の遺跡分布模式図(画像をクリックしてください)