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茶の名前の由来

中国・唐代以前は茶を指す呼び方として、荼(と)、檟(か)、蔎(せつ)、茗(めい)など、十以上の文字が使われていました。その中で最も多く使われていたのが「荼」という文字です。

しかし、この文字も苦菜、茶など三つの植物を指していて、茶を意味しているかどうかは前後の文脈から推測する以外になかったようです。

紀元前59年中国の王褒が書いた「僮約」という文章の中に「荼を煮る。荼を買う」という言葉が出てきます。地理条件や当時の茶の栽培状況から推して、これは茶を指すとされています。したがって、「僮約」は茶がはじめて史料に現れる文書として有名です。

唐代になり陸羽が『茶経』(760年ごろ)を書いたとき「荼」の一画をとって「茶」としました。以後、茶の字は固定され特定の植物、すなわち現在の茶を指すものになりました。したがって、陸羽以前の書物に出てくる「茶」は後代書き直されたものと見られています。

日本で使われている「ちゃ」という発音は広東語の「茶」の発音から出ています。さらに、これは陸路を経て西アジア、東欧諸国に伝わりました。一方、ティーという発音は、中国の福建省アモイの人たちの発音に由来します。これは、海路で西欧、北欧、南アジアに伝わりました。ただし、ポルトガルだけは広東語由来の「チャ」を使います。これは、ポルトガル人が中国で商売を行った最初のヨーロッパ人で、その時の相手が広東の商人だったからです。

(参考文献)
W.H.Ukers(1935):All about Tea
姚国坤・王存礼・程啓坤(1989):中国茶文化(近藤宗英訳)

(小泊 重洋)