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カテキン

茶では、従来、タンニンといわれてきました。

タンニンとは、皮をなめす作用のある植物成分に与えられた名称ですが、カテキンは、化学的に一定の構造をもつものの名称です。茶葉に含まれるタンニンの85%以上が、カテキンに属する物質ですので、茶では、タンニンといえば、カテキンのことであるといっても、ほとんど同じということもできます。

カテキンには苦渋味があり、緑茶の味のベースになっています。茶葉には、10~20%程度含まれており、茶の水溶性成分の中で、最も含有量が多い物質です。

10種程度のカテキンが存在しますが、通常、エピガロカテキンガレートが最も多く、約半分を占め、ついで、エピガロカテキンかエピカテキンガレートが多く、さらに、エピカテキンとなります。

紅茶では、製造工程中に、カテキンが酵素により酸化・重合されて、紅茶特有の美しい橙赤色の物質に変わります。

日本茶の味にとっては、カテキンとアミノ酸の調和が重要視され、カテキンが多すぎることは苦渋味が強くなるため好ましくありませんが、紅茶では多いほうがよいとされます。

カテキンは、緑茶や紅茶の品質にとって重要であるだけでなく、最近、抗酸化、抗ガン、抗動脈硬化、血圧上昇抑制、抗菌、抗虫歯、抗アレルギー、消臭などの機能性があることが実証され、茶の保健性の中核になるものと目されています。

(中川 致之)

上:タンニン含有量の変化/下:カテキンの分析 (画像をクリックしてください)