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はるみどり ─ 煎茶独特の豊かな香りとうま味のある高級茶 ─

栽培上の特性

樹型は母親の「かなやみどり」に似てやや開帳型です。このため幼木期に特に低くせん枝しなくても株張りの良い茶園が出来ます。早晩性は「かなやみどり」より二~四日遅く、「やぶきた」よりも六日程度遅い晩生種です。生葉収量は「やぶきた」に比べて多収です。幼木期は生育がやや緩慢なため収量性は高くありませんが、成園化するに従って樹勢が強くなり、収量増加が著しい。一般的に一番茶多収型の品種です。
この品種は秋の芽止まりが早いため秋芽の伸びが少ないのが特徴です。これにより秋整枝が「やぶきた」よりも通常一~二週間早く行うことが可能です。また、裂傷型凍害に非常に強く、通常は全く心配する必要がありません。
耐病性は輪斑病には弱ですが、その他の病害では特に目立つものはありません。耐虫性では、クワシロカイガラムシに対する抵抗性はありませんので注意が必要です。

品質の特性

煎茶品質が極めて良好です。外観は色沢が鮮緑色で、葉が柔らかいために形状も良好です。成分的には一番茶でアミノ酸が四%を越え、タンニンが一〇~一一%と低いのでうま味が強く、渋みの少ないのが特徴です。香気は「やぶきた」と異なる芳香があります。新芽は手触りが特に柔らかく、出開度が進んでも硬化が遅いため品質低下の小さい品種です。

栽培上の注意点

挿し木発根性は良好ですが、幼木期の生長が「やぶきた」などと比べるとやや遅いため十分管理することが必要です。特に、幼木期に強いせん枝をすると主幹の生育が悪く、成園化が遅れますので樹高を上げるように管理します。また、秋芽の生長が小さいため摘採は三番茶までで止め、一番茶に重点を置いた茶園管理をすると経営的に有利です。

加工上の注意点

標準製茶法で行います。出開度が特に若い原葉では、特異香が出ることがありますので注意する必要があります。

月刊「茶」(社団法人静岡県茶業会議所)より転載

(武田善行)