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お茶とコーヒーの文化圏

お茶とコ-ヒ-には、ともにカフェインが含まれており、人の心を和ませるナルコティクナな飲み物であることは承知のとおりです。ですから、お茶は中国南部より、コ-ヒ-はエチオピアのアビシニア高原をそれぞれ発し、悠久の時を経て、今や世界の飲み物に成長したのでした。 ヨ-ロッパでは、1602年にお茶が、1640年にコ-ヒ-が、それぞれオランダに輸入されはじめました。1640年にはイギリスにお茶が輸入されるようになると、その後ミルクティ-がイギリスで流行するようになったようです。そして後にヨ-ロッパの国々では、お茶とコ-ヒ-の文化圏が生じた訳なのです。

お茶を好む文化圏では、中国、日本、インド、オ-ストラリア、南アフリカ、イギリス、ロシヤなどがあります。また、コ-ヒ-圏は、ノ-ルウェイ、スエ-デン、フランス、ドイツ、イタリ-、南北アメリカなどです。特に北アメリカでは、1773年のボストン茶会事件以後、お茶好きからコ-ヒ-好きのアメリカ人へと変ぼうしたのでした。このように、地球レベルにおいてもお茶とコ-ヒ-の文化圏が認められるのです。この現象には、その国の食文化が介在しているのではないでしょうか。そして植民地では、支配国の好みも反映したことでしょう。

とにかく、お茶やコ-ヒ-といった嗜好品は、元来個人の好みです。18世紀のスエ-デンの博物学者リンネは、お茶をこよなく愛し、紅茶セットを中国まで注文したほどです。彼は、まるで数寄者のようにお茶を楽しんだのでした。それでは私達も、ティ-タイムとしゃれ込みましょうか。

(参考文献)

茨城県自然博物館編(1997) 茶と珈琲の博物誌、茨城県自然史博物館、茨城

(横内 茂)

リンネ(1707~1778)が中国に注文し製作させた紅茶セット。中井猛之進著(1939)『植物の属の復刻に当りて』から